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非鉄金属業界の現状~国内でのヘッジ取引の環境
前項で、特に2000年代に入ってからの中国の目覚ましい台頭により国際金属市場のボラティリティが増したことを説明いたしました。その間、日本市場は長期的な不況と国際金属市場全体の規模が急速に拡大したことにより世界シェアを落としています。しかし国別でみた場合、概ね中国、米国に次ぐ第三位の座をドイツと争っている状態にあります。また国内生産・消費にとどまらず、グローバルな事業展開を強化している企業が多数あります。特にアジア地域が世界シェアを伸ばしている中では米国や欧州の企業より日本企業にアドバンテージがあります。日本の製造業全体では2012年度に海外生産比率が20%を上回りました。海外生産拠点においては労働コストが安く、現地やその周辺の需要が旺盛であり、また現地の顧客ニーズに応えやすいというメリットがあります。例えば、タイ住友電工は東南アジア最大級の銅荒引線・伸線工場であり、アセアン市場の旺盛な通信インフラ整備を支えています。日本企業は依然として国際金属市場の有数のプレーヤーの地位を保持しています。
LMEの取引所取引はメンバーシップ・ブローカーを通じて行われます。顧客のLME取引のクリアリングを行なうのは取引所で中心的な役割を担うリング・メンバー10社と、カテゴリー2と呼ばれる31社のみです。計41社は概ね国際的な銀行・証券会社、同じく国際的な商品ブローカー会社で構成されます。メンバー会社はアジアに事務所及びLMEの取引デスクを有していますが、2000年以降中国の台頭に合わせ、取引デスクを香港・シンガポールに新設・移設するケースが増えています。移設に関しては日本からの移設が大半であり、香港やシンガポールにおいて日本を含むアジア全般の顧客に対応する形となっています。メンバー会社にとっては中国からのヘッジニーズ及び投機資金をいかに取り込むかが目の前の課題となっており、日本企業が二の次になっているのが現実です。国際的知名度が高い大手は別としても、その他大多数の顧客がLMEで取引するに際して不自由を感じるか、取引機会すら見つけられない状況に直面しています。しかしながら一部のメンバー会社は中国や新興国の顧客との取引のみが拡大する現状はリスク管理の観点から望ましくないと考えており、より効率的な形で日本の顧客を獲得したいという姿勢で臨んでいます。その効率的な形とは日本の会社を仲介ブローカーとして活用することです。弊社はリングメンバー2社の日本での仲介ブローカーとして、裾野が広い日本の非鉄金属市場の中で潜在的に価格ヘッジを必要とする多数のお客様にお取引の機会を提供しております。